
「ヒットを打たれる」って英語でなんて言うんだろう?
野球の試合でピッチャーがヒットを打たれたとき、英語では何というでしょう?
日本語から考えると「〜される」から “I got hit.” や “I was hit” と言いたくなるかもしれません。
ですが、これだとまったく違う意味になってしまいます。
では、ネイティブはどんな表現を使っているのでしょうか?
今回は「ヒットを打たれる」の場面でネイティブがよく使う表現を例文とともに紹介します!
got hit や was hit だと「打たれる」ではなく「当てられる」
英語で「ヒットを打つ」は “get a hit” や “hit a single” と言います。
“single” は日本語の「シングルヒット(安打)」のことで、ヒットの種類によって以下のように表現します。
- double:二塁打
- triple:三塁打
- home run:本塁打
“hit” は動詞で「ヒットを打つ」、名詞だと「ヒット」を指す言葉。
ですが、「ヒットを打たれる」の場合は、動詞の “hit” を受動態(受け身形)にして、
- The pitcher got hit.
- Shohei was hit.
などとは言いません。
ちなみに、 “get hit” や “be hit” は「ボールがぶつかる・当てられる」
日本語の「デッドボール」を意味するフレーズになってしまいます。
「ヒットを打たれる」は、別のフレーズを使って表現しましょう!
「ヒットを打たれる」の表現①:give up a hit
「ヒットを打たれる」は英語で、
give up a hit
“give up a hit” の発音
“give up” は「諦める」という意味でお馴染みのフレーズ。
ですが、「(何かを)差し出す・明け渡す」や「(何かを)放棄する」といった意味があります。
たとえば、
I gave up on my dream of being a professional musician.
プロのミュージシャンになる夢を諦めた。
この場合、「諦める」と訳されますが、言い換えると「その夢を放棄する」や「(誰か他の人に)明け渡す」といったニュアンスがあります。
つまり、 “give up” には単に気持ちの問題ではなく、何かを手放すような感覚があるんです。
この考え方を踏まえると、 “give up a hit” もピッチャーはもちろん「ヒットを打たれたくない」と思って投げていますが、結果として打たれてしまった。
→ ヒットを「明け渡した(give up)」と捉えることができるわけです。
The pitcher gave up a single to the leadoff batter.
投手は先頭打者にシングルヒットを打たれた。
The rookie gave up a triple but managed to escape the inning.
新人投手はスリーベースを打たれたが、何とかその回を切り抜けた。
They gave up back-to-back singles.
彼らは連続でシングルヒットを打たれた。
A: Was he in trouble in the third inning?
A: 3回はピンチだった?
B: Yeah, he gave up a double and a walk.
B: うん、ツーベースと四球を打たれてね。
A: How did he do in the eighth?
A: 8回はどうだった?
B: He gave up two hits but no runs.
B: ヒット2本は打たれたけど、無失点だったよ。
「ヒットを打たれる」の表現②:allow a hit
他にも「ヒットを打たれる」は英語で、
allow a hit
“allow a hit” の発音
“allow a hit” の直訳は「ヒットを許す」。
こちらは日本語でも同じように表現するので、直感的にはわかりやすいかもしれませんね。
また、 “hits allowed” で「被安打」という意味で使われることもあります。



“Hits allowed average” や “Hits allowed per 9 innings” は「被打率」を表現するときに出てきたりしますね。
She allowed a triple but got out of the inning.
彼女はスリーベースを打たれたが、無失点で切り抜けた。
The closer allowed a hit but still earned the save.
抑え投手はヒットを打たれたが、セーブを記録した。
He allowed just one hit through six innings.
彼は6回までにヒット1本しか打たれなかった。
A: Did he face Mike Trout?
A: マイクトラウトと対戦した?
B: Yeah, and he allowed a home run.
B: うん、それでホームランを打たれた。
A: Was it a clean inning?
A: このイニングは三者凡退だった?
B: Not really. He allowed a hit but got a double play.
B: そうでもない。ヒットは打たれたけど併殺で切り抜けた。
「猛打を浴びる」「滅多打ちにされる」を英語で言うなら?
野球中継を見ていると「猛打を浴びる」という表現が出てきます。
たくさんのヒットやホームランを打たれる、という意味で使われるのですが、英語では、
- get hammered
- get rocked
- get shelled
このように表現します。
どれも多少のニュアンスの違いはあれど、すべて同じ意味。言い換えも可能です。
では、1つずつ簡単に見ていきます。
get hammered
“get hammered” の発音
“hammer” 「ハンマー」という単語が入っているとおり、強打されるといったニュアンスがあり、滅多打ちにされたときによく使われる表現。
The pitcher got hammered last night.
あのピッチャーが昨夜ボコボコに打たれた。
get rocked
“get rocked” の発音
“rock” は「岩」だけでなく、「揺り動かす」「不安定な状態にする」といった意味もあるのをご存知でしょうか?
まさに集中打を浴びてイニングの途中で一気に崩れるといったイメージです。
The starter got rocked and couldn’t finish the first inning.
先発は打ち込まれて1回を投げ切れなかった。
get shelled
“get shelled” の発音
“shell” は「貝殻」だけでなく、実は「砲弾(爆弾)」という意味もあり、そこから動詞で「砲撃する」「爆撃する」という意味でも使われます。
つまり、 “get shelled” はあちこちに爆弾が落ちるように四方八方から攻撃されるイメージです。
Our pitcher got shelled for eight hits.
うちの投手は8本のヒットを打たれてボコボコにされた。
「野球」にまつわる英語フレーズ
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「(投手が)ヒットを打たれる」の英語表現 まとめ
give up a hit
“give up” は「諦める」という意味だが、「(何かを)差し出す・明け渡す」や「(何かを)放棄する」といった意味もある。
allow a hit
“allow a hit” の直訳は「ヒットを許す」。日本語でも同じように表現するので、直感的にはわかりやすい表現。