日本語で「アドリブ」ってあるけど、英語で使えないんだっけ?
日本語の「アドリブ」は、即興で何か行動することを表す、日常会話でよく使われる言葉ですよね。
他の日本語に置き換えると、こんな言い方もできます。
- ぶっつけ本番
- 臨機応変
- 思いつきで〜する
- 準備なしで〜する
- 即座に〜をする
- その場でなんとかする
- 場当たり的な
めちゃめちゃありますね。笑
この「アドリブ」は “ad-lib” というラテン語が語源ですが、英語ネイティブの間ではあまり使われていないんです。
ということで、ネイティブが使う「アドリブ」の自然な英語表現を紹介して行きますので、覚えやすい表現を頭の中に入れておきましょう。
「アドリブ」の wing it
「アドリブ」の意味で、
wing it
ネイティブがよく使う表現の1つです。
“wing it” は、準備なく何かをする「アドリブ」の意味で、こんなニュアンスがあります。
- ぶっつけ本番で器用にやる
- 準備不足のまま、思いつきや勢いで行動する
ポジティブな意味だけでなく、準備が足りないまま何か行動を起こすなど、ネガティブな意味でも使われます。
実は、 “wing it” は舞台用語。
役者が舞台袖(wing)で出番を待っている間にセリフを覚えて、そのまま舞台に立って即興で演じること、が語源となっています。
音楽の演奏や舞台の演劇、即席でやるパフォーマンスなどにも “wing it” は使えます。
Omg, I don’t really prepare for the interview today. Well, I’m just going to wing it then.
ああ、今日の面接の準備してないわ。まぁ、その場で何とかすればいいか。
A: Hey, did you study for the exam for tomorrow?
A: ねぇ、明日の試験の勉強した?
B: Not really. I’m just gonna wing it.
B: いや、特に。ぶっつけ本番でいくよ。
I don’t really have specific plans for my trip to Australia. I’m just gonna wing it once I get there.
オーストラリア旅行への具体的な計画は立てて無い。向こうについたら思いつきで行動するよ。
「アドリブ」の play it by ear
「アドリブ」の意味で、
play it by ear
これもよく使われます。
この “play it by ear” に含まれているニュアンスはこんな感じ。
- 計画なしに、その場のノリ・直感で何かをする
この “play it by ear” は直訳すると「耳でプレイ(何か行動)する」となります。
楽器の演奏者が楽譜を見ず、即興で演奏をする、耳コピをして演奏する、というのが語源となっています。
I don’t really prepare for the interview today. Well, I’m just going to play it by ear then.
今日の面接の準備してないわ。まぁ、その場で何とかすればいいか。
I’ve been playing guitar for 3 years and really like playing it by ear with my band.
ギターを3年間やっているが、自分のバンドで場当たり的に演奏するのが好きなんだよな。
A: What do you want to do this weekend?
A: 今週末何したい?
B: It would be nice to be somewhere outside of the city, but I don’t know where to go. Let’s just play it by ear.
B: 都会から離れてどこか行きたいけど、どこが良いかわかんないなぁ。その場で決めようか。
「アドリブ」の improvise
他にも、こんな表現があります。
improvise
“improvise” は動詞で「即興でやる」の表現。
そして、 “improvise” のニュアンスはこちら。
- 行き当たりばったりでやる、何かを作り上げる
即興でスピーチを行う、という意味ではこれまで紹介してきた表現と同じですが、その他にも「即席で何かの代わりになるものを作る」という意味もあります。
We improvised a mattress from a pile of blankets.
私たちはブランケットを積み重ねてマットレスを即席で作った。
Those kabuki actors sometimes improvise when they are acting on the stage.
歌舞伎役者は舞台の上でときどきアドリブで演じている。
A: Those two guys are really good at improvising songs.
A: あの2人は即興で歌を作るのがとてもうまい。
B: I know, right? They are so talented!
B: だよね?めっちゃセンスあるよね!
「アドリブ」の off the cuff
さらに、こんな表現もあります。
off the cuff
“off the cuff” は副詞として使える「アドリブ」の表現。
この “off the cuff” に含まれているニュアンスはこんな感じ。
- うまくズルをした結果、自然に事がうまく進んだ
この “off the cuff” の “cuff” は「カフス」のことで。
日本語でも使われていますが、そもそもは「シャツの袖」のこと。
役者・演説者が事前準備をしっかりせずに、セリフや演説の内容を袖口にメモして忘れないようにした、というのが語源となっているようです。
ズルをして何かがうまく進んだときが語源に関わっていますが、一般的に使われる表現なので、そこまで上記のニュアンスに引きずられなくてOK。
His remarks were off the cuff.
彼の言葉はアドリブだった。
I haven’t prepared a speech, so I’m going to say just a few words off the cuff.
スピーチの準備をしていないので、即興でひとことだけ言うことにするよ。
A: I’m not good at speaking English off the cuff.
A: 即興で英語を話すのが苦手だ。
B: Don’t worry about it. The more you practice, the more you speak smoothly.
B: 大丈夫だよ。もっと練習すれば、もっとスムーズに話せるようになるよ。
「アドリブ」の on the spot
最後に紹介する「アドリブ」の意味で使える表現は、
on the spot
“on the spot” は、先ほどの “off the cuff” と同じく副詞です。
この “on the spot” に含まれているニュアンスはこんな感じ。
- 計画なしにその場のノリや直感で何かをする
“spot” は「スポットライト」で使われるスポットのこと。
「特定の場所・地点」を表すことから “on the spot” で「その場で」という意味として使われるんです。
また、この “on the spot” は “put someone on the spot” で「誰かを無理やりスポットライトを浴びせる、注目を浴びる場面に置かせる」から『難しい状況に追いやって(人を)困らせる』といった意味合いで使うこともあります。
こちらの動画で “put someone on the spot” の表現が出てきます。(02:13あたり)
「大谷を困らせてやりたいんだ」って言われちゃってますね。
When my boss offered me the position of project manager, I accepted it on the spot.
私の上司がプロジェクトマネージャーの役職を用意してくれたとき、私はその場で了承した。
A: How did it go? Did you get a job interview at the cafe?
A: どうだった?カフェの仕事の面接してもらえた?
B: No, I was turned down on the spot because they are so busy at that time.
B: いや、あの時は忙しくてその場で断られたよ。
I’m not trying to put you on the spot, but can you explain why you did it?
困らせるつもりはないんだけど、なぜそうしたのか説明してくれる?
「アドリブ」英語表現 まとめ
- wing it
“wing it” のニュアンス
- ぶっつけ本番で器用にやる
- 準備不足のまま、思いつきや勢いで行動する
ポジティブな意味で使えるのはもちろんのこと、準備が足りないまま何か行動を起こすなど、ネガティブなときにも使えるんです。
- play it by ear
“play it by ear” のニュアンス
- 計画なしにその場のノリや直感で何かをする
この “play it by ear” は、楽譜を見ないで即興で演奏をする、耳コピをして演奏する、というのが語源となっています。
- improvise
“improvise” のニュアンス
- 行き当たりばったりでやる、何かを作り上げる
他にも「即席で何かの代わりになるものを作る」という意味もある。
- off the cuff
“off the cuff” のニュアンス
- うまくズルをした結果、自然にうまく事が進んだ
役者や演説者が事前準備せずに、セリフや演説の内容を袖口にメモして忘れないようにした、というのが語源。
- on the spot
“on the spot” のニュアンス
- 計画なしにその場のノリや直感で何かをする
また、”put someon on the spot” は『難しい状況に追いやって(人を)困らせる』といった意味合いで使うこともある。