“I will ~” の短縮形が “I’ll ~” だったと思うけど、意味や使い方って一緒じゃなかったっけ・・・?
学生時代に “will” は「未来形」である、と習ったのを覚えてますか?
未来の話をするときには、 “I will ~” のように『主語 + will』で表すルールがあり、”I’ll” は “I will” をギュッと短縮したものでしたよね。
ですが、ネイティブにとっては『 I will = I’ll 』とは限りません。
実は、 “I will ~” と “I’ll ~” には明確なニュアンスの違いがあり、ネイティブはこの2つを自然に使い分けているんです。
ということで、今回は “I will ~” と “I’ll ~” の意味・ニュアンスの違いについてお届けします。
will には「意志」の意味がある
まずは “will” の意味を確認しておきます。
一般的に知られている “will” の意味は、
- 〜だろう
- 〜する予定だ
このように、未来の予定、推測などをするときに動詞と一緒に使われます。 “will” は『助動詞』と呼ばれてます。
I will go to the hospital today.
私は今日、病院に行くつもりだ。
上記の文章を見ると、「これから病院に行く予定である」ということを伝えています。
ですが、厳密に言うと「私は今日、病院に行くつもりだ」の日本語訳は間違いなんです。
実は、 “will” には他にもこんな意味があります。
- 意志・意思
- 決意
“will” は助動詞の他に、名詞で「意志」や「決意」など、強い気持ちを表します。例えば、 “I did it against my will” で「私は自分の意志に反してそれをした」のように、 “my will” の形で用いることもあります。
なので、 “will” の本質は『強い意志を持って(未来に向かって)〜する』となるわけです。
つまり、先ほどの例文の本当の意味・ニュアンスは、
I will go to the hospital today.
私は今日、必ず病院に行く(つもりだ)。
このように “will” という言葉を短縮せずに使うことで、”will” のニュアンスが強調され、発話者の「強い意志(意思)」が含まれるようになります。
“will” と一緒にセットで出てきた “be going to ~” って覚えてますか?こちらは強い意志のニュアンスは全くなく、むしろ始めから予定されていたことを相手に伝えるときによく使われるんです。
She said she will go to the hospital today.
彼女は、必ず病院に行くつもりだと言った。
もし、発話者が2人称(= you)、または3人称(= he, she, they, it)のことについて話す場合は、 “will” にはその文章の主語となる人物の意志(意思)が入っています。
この場合、「病院に行く」と言ったのは “she” なので、 “she” が「強い意志」を持っていることになります。
I will と I’ll の違いとは?
ここまで、 “will” には「(強い)意志」という意味、またはニュアンスがある、という話をしました。
では、それを踏まえた上で、 “I will ~” と “I’ll ~” の違いについて見ていきます。
“I will ~” の発音
“I’ll ~” の発音
カタカナで書くと “I will” は「アィ ウィル」、 “I’ll” は「アイル」といった感じですね。
先ほども触れましたが、 “I will ~” のように “will” をあえて省略しないことで、 “will” の持っているニュアンスが強調される特徴がありました。
I will finish my work by the end of the day.
私は今日中に絶対、仕事を終わらせる。
“will” には「必ず〜する」や「絶対に〜する」などの強い気持ち・意志が含まれます。文末に「!」が付いているんじゃないかってぐらいですね。
一方、 “I will ~” の代わりに省略形の “I’ll ~” を使うと、
I’ll finish my work by the end of the day.
今日中に仕事を終わらせよう。
“will” をはっきりと使わない場合、特に強い意志が出ることはなく、今思いついたかのように「あっ、今日中に仕事終わらせよっと」と言っているニュアンスがあります。
また、 “I’ll” の方がカジュアルな印象があるため、会話で使うには自然で良いですが、エッセイや論文、レポートなどでは “I will” と略さずに書くのが一般的とされています。
“I will” と “I’ll” のちょっとした違いだけで、相手が受け取る意味・ニュアンスがこんなにも違うって、ちょっと驚きですよね。
他にも、オフィスで電話が掛かってきたときに「私が出ます」を英語で、
- I’ll answer it.
- I will answer it.
ほぼ必ずネイティブは、 “I’ll answer it” と言うんです。
その理由は、電話が掛かってきたときに咄嗟に「私が出る」と決めたのは今、その瞬間だったから。
この場面では、特に「強い意志」は持っていない、ってわけですね。
たとえビジネスの場面であっても、 “I will” を使いすぎることで、逆に相手に違和感を与えてしまうということもあるので、気をつけましょう!
ちょっと余談ですが、よく海外の人から聞くのが「日本人は礼儀正しすぎる」という話。
日本では礼儀正しさが大事だとされていますし、それ自体はとても良いことだと思いますが、英語圏では「フレンドリーさ」や「気さくさ」の重要度がけっこう高めです。
基本的には “I will ~” の方が “I’ll ~” よりもフォーマルですが、たとえビジネスの場面であっても “I will ~” をあまりにも使い過ぎると、相手によっては逆に距離を感じてしまうこともあります。
特に、チャットやメールのなどでの簡単なやり取りは “I’ll ~” で特に問題はないでしょう。”I will ~” を使わないと相手に失礼でしょ・・・とか、そこまで気にしすぎなくてOK。
フォーマルな場面であっても、どの部分で「強い意志」を相手に示したいかはっきりさせると、うまく使い分けられると思います。
will not は「強い意志をもった否定」を表す
ここまで読んで頂いた方なら、 “will” の持つ本質はきっと理解できていることでしょう。
“I will ~” と “I’ll ~” が異なるように、 “will” に “not” が付いた “I will not ~” と “I won’t” のような『否定文』であっても、やはり2つはニュアンスが違います。
“I will not ~” の方が I won’t ~” に比べて、「強い意志を持って否定する」というニュアンスがあります。
I will not forgive you.
あなたを絶対に許さない。
上記の例文の場合、「あなたを許さない」という気持ちがとても強く、相当な決意、または恨みを持っていると解釈することができます。
I won’t do it again.
もう2度としないよ。
同じ過ちを繰り返さないと伝えるときに、ネイティブは “I won’t do it again” とよく言います。
特に会話の中ではこれで十分ですが、「もう2度としない」という強い気持ちをあえて表したければ、 “I will not do it again” の方がいいでしょう。
こんな他の表現はいかがでしょうか?↓
I will と I’ll の英語表現 まとめ
“will” の本質は『強い意志を持って(未来に向かって)〜する』
- I will ~
- 必ず〜する
- 絶対〜する
- I’ll ~
(今思いついたように)〜をするつもりだ
※ “will” を省略して “I’ll ~” と表現すると、「〜の予定」のように未来のことを単純に伝えるニュアンスになる
- “will” を省略しないで使うことで「意志」が強調される。→「強い意志がある」ニュアンス
- 基本的には “I will” よりも “I’ll” の方がカジュアルな響きがある
- “I’ll” には「今思いついた」というニュアンスがある