たとえば、「彼を知っている」は “I know him” じゃダメなの?
英語で「〜を知っている」を言い表すには、 “know” を使いますよね。
ですが、「その人物を知っている」を言いたい場合、知ってる度合いによって “know” だけではすべて表現できないのをご存知でしょうか?
実は、間違った使い方をしている人が多いと言われている英語表現・フレーズの代表格!
その人物を「知っている」と言っても、その人を直接知っている場合もあれば、名前ぐらいしか聞いたことない場合など、「知っている」のパターンは色々です。
なので、必ずしも「知る = know」とは限らないというわけです。
ということで、 “know” を使った「〜を知っている」の正しい英語表現をご紹介します。
“know” を使うときのよくある間違い
“know” は「〜を知っている」という意味である、と学校で習いましたよね。
ですが、「人物を知っているかどうか」を言うときには、少し注意すべきポイントがあります。
というのも、
- その人物に実際に会ったことがある、または知り合いである
- その人物のこと、人となりをそれなりに知っている
- その人物の存在は知っている(顔見知りではない)
これら3パターンいずれであっても、日本語では「(人物を)知っている」と言えます。
直接会ったことがない、話したことがなくても「大谷翔平を知ってる」と日本語では言えちゃいますよね。
ですが、英語では上記の各パターンで “know” を使った言い方が少し変わってくるわけですね。
ということで、これらの3つのパターンの表現の違いについて見ていきます。
「(人物)を知ってる・会ったことある」の know + 人物
“know” を使った「〜を知っている」でも、「その人物に会ったことがある」ときは、
know 人物
“know” の発音
実は、 『 know +人物 』は「その人物に実際に会ったことがある」や「その人物と知り合いである」といったときの「(人物を)知っている」という表現なんです。
I know Shohei Ohtani.
私は大谷翔平を知っている。
と言えば、「大谷翔平選手と知り合い」ということになります。
「実際に会ったことがある」「付き合いがある」といった感じですね。
“know” だけだと、こんなニュアンスがあるんです。
The teacher knows each student well.
先生は生徒たち一人一人をよく知っている。
The siblings have known each other for a long time.
兄弟/姉妹はお互い長い付き合いである。(=兄弟/姉妹はお互いを長い間知っている)
I think we should take the time to get to know each other more.
私たちは互いを知る時間を持つべきだと思う。
A: Do you know that new colleague? His name is Tom.
A: あの新しい同僚、知ってる?彼はトムだよ。
B: Yes, I know him. We had lunch together once.
B: ああ、知ってるよ。一度昼食を共にしたことがあるんだ。
A: Do you know Amy?
A: エイミって子、知ってる?
B: Yeah, I know her. We’re both in the school drama club.
B: うん、知ってるよ。彼女は学校の演劇部で一緒だ。
「(人物)について、人となりを知ってる」の know about + 人物
「実際に会ったことがある」「付き合いがある」わけではなく、直接話したことはない。
でも、見聞きしたりして「その人物について、人となりを知ってる」 ときは、
know about 人物
このように表現します。
“know about” の発音
“about” は「〜について」という意味なので、『 know about +人物 』は「(人物について)知っている」ということになります。
直接会ったことがなく、性格なそ詳しく知っているわけではないものの、誰かから見聞きしたり、有名人であればネットの情報でそれなりに知っている、といったときに使える表現です。
ただし、直接の知り合いではない、という点で先ほどの『 know +人物 』とは感覚が異なります。
I’ve never met Shohei Ohtani in person, but I know about him.
大谷翔平選手に直接会ったことはないけど、彼については知ってるよ。
A: Do you know that new colleague? His name is Tom.
A: あの新しい同僚、知ってる?彼はトムだよ。
B: Not really. What’s he like? Tell me what you know about him.
B: いや、知らないな。彼はどんな人なんだ?教えてくれよ。
A: Do you know Amy?
A: エイミって子、知ってる?
B: I don’t know much about her, but I’ve heard she’s friendly.
B: 彼女については詳しく知らないけど、フレンドリーだって聞くね。
「(人物)の存在は知ってる」の know of + 人物
直接の知り合いではなく、その人についても詳しくは知らないが、「(人物)の存在は知ってる」 と言いたい場合は、
know of 人物
“know of” の発音
すでに紹介している 『 know +人物 』や『 know about +人物 』よりも、さらに知っている度合いが低めです。
“of” は「〜の」と訳されがちですが、「〜という」や「〜について」といった意味。
なので、『 know of +人物 』で「名前ぐらいは聞いたことある程度」といったニュアンスでネイティブは使ってます。
“know about” と “know of” はニュアンスが近いので、ネイティブによっても人によって感覚が異なることもあります。それぐらい似ているということですね。
I know of her, but I don’t know her personally.
彼のことは知っているが、個人的には知らない。
He is someone who is well known of in this town.
彼はこの街でよく知られている人物です。
A: Do you know that new colleague?
A: あの新しい同僚、知ってる?
B: Oh you mean Tom? I know of him, but I’ve never met him though.
B: トムのこと?彼の存在は知ってるよ、まだ会ったことはないけど。
A: Do you know Amy?
A: エイミって子、知ってる?
B: I know of her. I might have met her before but we’ve never talked to each other.
B: 彼女のことは知っているよ。会ったことあるかもしれないけどお互い話したことはないんだ。
have heard of + 人物 もよく使われる
他にも、「(人物)の存在は知ってる」 は、
have heard of 人物
これもよく聞く表現です。
“have heard of” の発音
『 know of +人物 』と同じニュアンスで『 have heard of +人物 』も「名前ぐらいは聞いたことある程度」の意味で使われます。
ここで出てくる “have” は、現在完了形『have + 過去分詞』の “have” です。
I’ve (I have) heard of Shohei Ohtani.
私は大谷翔平を知っている。
こちらの例文を直訳すると「私は大谷翔平選手のことを聞いたことがある」ですが、「聞いたことがある=存在は知っている」ですよね。
なので、先ほどの “know of” と同じように使えるというわけです。
“know of” と “have heard of” はホント同じぐらいよく聞くので、覚えやすい方から覚えて使ってみましょう。
「(人物を)知っている」の英語表現 まとめ
「(人物を)知っている」には、以下の3パターンがあり、各パターン毎に “know” を使った表現が異なる。
- 〜に実際会ったことがある、または知り合い
- 〜について知っている
- 〜の存在、名前は知っている
- (人物)に実際会ったことがある、または知り合い
know 人物
“know” には、そもそも「実際に会ったことがある」「付き合いがある」といったニュアンスがある。
- (人物)について知っている
know about 人物
その人物と直接知り合いではないため、詳しい性格などを知っているわけではないが、その人について多少なりとも知っているときに使える表現。
- (人物)の存在、名前は知っている
know of 人物
その人物を直接知っているわけでもないし、その人のこと自体をよく知らない、でも名前ぐらいは聞いたことある、といったニュアンスで使う表現。
『 have heard of +人物 』も同じ意味で使われる。